【ボリビア】午前はスペイン語、午後は日本語 三線で弾く童神/現地コラム・安里 玉元 三奈美さん③

2020.5.16

地球の反対側・南米ボリビアにある県系人移住地「コロニア・オキナワ」には、県系人が作った学校「オキナワ第一日ボ学校」があります。
コロニア・オキナワには、複数の学校がありますが、その中でもオキナワ第一日ボ学校は沖縄県系人らが1987年に設立した学校で、移住地の中心地にあります。児童・生徒数は約90名で、県系人のほかにも、日本語を学びたいという現地のボリビア人が通っています。
沖縄の学校との違いや授業の様子など、今回のコラムは、私が教師を務める「オキナワ第一日ボ学校」の日々のようすを紹介していきます!

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ボリビアで日本語の先生に!

ボリビアに移住してすぐ、校長先生から「先生しない?」と声をかけてもらい、日本語の先生となりました。

大学で中学校、高校の教員免許を取得して、教員の道とは違う道を歩いてきた私が、ボリビアの日本語学校で先生になるとは思ってもいなかったです。

こうして、私の先生生活が2018年からはじまりました。

門をくぐると、元気な生徒達が迎えてくれる

学校の門をくぐって入っていくと、元気な生徒たちが「みなみせんせい〜、こんにちは〜!」と声をかけてくれます。
休み時間だと、運動場やバスケットコートで走り回る生徒たち。
三線の授業中なら、三線の音色が聞こえます。

午前はスペイン語、午後は日本語で授業

私のクラスのかわいい生徒たちです。
中学2年生から高校一年生の高学年クラスです。ボリビア人が一人で、あとは県系人。
3世がほとんどで、日本語のレベルは、日本のテレビドラマが理解できる高いレベルの子もいれば、簡単な会話レベルの子までさまざまです。

午前はボリビアの教育過程に基づいて、国語、算数、社会などがスペイン語で行われます。午後は日本語のクラスで、日本語で授業を行います。

教室に入ると、日直が「きりーつ!これから1校時の授業をはじめます」、全員で「よろしくお願いします!」と始まります。

私のクラスでは、書く、読む、話す、聞くの4つの力を伸ばすことに力をいれていて、いろんな文章に触れて語彙力を高めようと、公文式のような読解問題を多めに行い、他にも文法、テーマ型の短作文などの授業をしています。

「いつか日本に行きたい!」「日本の友達がほしい!」という生徒たちです。学んだ日本語で、ルーツがある沖縄にも行って、友達をたくさん作って、仕事にもつなげてもらえると嬉しいです。

三線やエイサー、琉球舞踊も!

オキナワ第一日ボ学校では、授業で三線を学びます。
ボリビアを訪れて、はじめて三線の授業を見学したときは、全員が安里屋ゆんた、てぃんさぐぬ花、童神を弾くことができていて、とても驚きました。

そして、ボリビアで三線の音を聞いて、癒されたのを覚えています。

写真にも写っていますが、三線を教えているのは、15歳の時に沖縄からボリビアに移住した一世の比嘉敬光さん。

子どもたちは工工四を覚え、前方に掲げられた工工四を見て曲を弾いています。
そして、覚えた曲は、豊年祭や敬老会、家族の日、学習発表会などの行事で披露。
コロニア・オキナワ にとって三線は小さい頃からとっても身近にあります。

運動会が近づくと、習ったエイサーを披露!
コロニア・オキナワでは、沖縄のような青年会エイサーではなく、琉球國祭り太鼓が根付いています。運動会では、ジンジンや七月エイサーの曲に乗せて披露しました!
小学生から高校生まで、子供達はエイサーが大好き!
エイサーを踊る我が子を見て、親たちも大喜び。
三線とエイサーの音は世界共通でちむどんどん、心が飛び跳ねるように嬉しくなります!

沖縄の子供たちとの交流も!

沖縄県の子供たちとの交流もあります。これは、名護の大宮小学校から届いた手作りのパンフレットです。
お互いの学校を紹介するパンフレットを作りあって、送り合いました。
他にも、スカイプをつないで交流をしたりします。

お昼はお母さん手作りの弁当!

沖縄では給食ですが、ボリビアの学校はお弁当です。
全校生徒が食堂に集まって、「いただきます!」で食べ始めます。

年に一度あるお弁当の日!

生徒たちが栄養バランスを考えて、献立、買い出し、調理、弁当につめるまですべて行います。
最後は、お弁当を作るお母さんに「いつもおいしい弁当を作ってくれてありがとう」を伝えます。心ほっこり、心温まる行事ですね。

ボリビアでも生徒会活動や掃除時間!

掃除時間はとっても騒がしい。
どこの国も同じ。先生が見ていないと、すぐにサボります。
走り回っている生徒もいて、先生の「掃除しなさ〜い!」が聞こえます。

生徒会活動や掃除をする習慣は、驚くことに、元々学校にはありませんでした。
沖縄県から現職の教員が派遣されていたおかげで、掃除習慣の他にも、生徒会活動や体育、道徳が受け継がれています。

実は、ボリビアの子供達、家で掃除をしないんです。
これには驚きで、お家にお手伝いさんがいて、掃除はお手伝いさんがするものと思っているようです。

ちなみに、私のお家にもお手伝いさんがいて、ご飯以外の家事(掃除、洗濯、アイロンなど)をしてくれます。
掃除の文化は、ずっと残していきたい文化ですね。

バレー、野球、サッカー、スポーツは何でもする!

放課後の様子です。コロニア・オキナワはスポーツが盛ん!
6月になると、放課後に、駅伝と運動会に向けた練習がはじまります。
5月かりゆしバレー大会、6月駅伝大会、7月運動会、10月ソフトボール大会。青年になると、12月にバレーボール、バスケット、フットサルのはいろう球大会をします。

年中スポーツをしていて、あっという間に1年が過ぎていきます。
日本の福岡大学から、サッカー部と野球部が派遣して指導にきてくれたり、スポーツはなんでもできます。

日本にはない行事「先生の日」

驚いた行事は、先生に感謝を伝える「先生の日」。生徒たちは、この日のために隠れて出し物を練習します。
ゲームで頭から小麦粉をかけられたり、出し物のダンスは先生も一緒にパーティー状態!写真からもパーティー状態が伝わりますよね!?

ボリビアでは、先生と生徒の距離がせまく、とっても身近に感じます。

強みを生かして羽ばたいてほしい

オキナワ第一日ボ学校が設立されて、32年。
卒業生には、コロニアオキナワの農業で活躍する人、日本に出稼ぎに行き活躍している人、スポーツで活躍する人、沖縄とオキナワをつなぐ架け橋となった人、たくさんの卒業生がいます。

スペイン語と日本語の両方を学び、両方の文化で育った生徒だからこその強みとメリットがあると思います。強みを生かして羽ばたいてほしいです。


安里 玉元 三奈美(あさと・たまもと・みなみ)
沖縄県出身。若者の祭典「世界若者ウチナーンチュ大会」を南米・北米・欧州・アジア・沖縄の5大陸で開催。海外に雄飛した県系子弟とのネットワークを形成。ミスうるま2015。2018年ボリビア在住の沖縄県系3世と結婚して、移住。2020年第1子出産。琉球新報ボリビア通信員。現地でライター、家系図制作、日本語教師をしながら、ボリビアで今も残る「沖縄文化」や「活躍する人材」にスポットを当て、ボリビアの情報を発信しています。