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【韓国】韓国最大級のヘアデザインコンテストを制しているのは、伊平屋島出身の大見謝さん!美容室「maruni hair」店長

2020.3.25

東アジアや東南アジアを中心に、ファッションやコスメの発信地となっている韓国。そんな韓国で最大級のヘアデザインコンテスト「milbon da」で何年も連続受賞しているのが、ソウル市内にお店を構える伊平屋島出身の美容師・大見謝友和さんです。韓国の美容界最前線をひた走る大見謝さんに、これまでのいきさつや現地から見つめる日韓関係などを、聞いてみました。

大見謝さんのお店「maruni hair」は、ソウル市のオシャレエリア・シンサにあります。ちょうど、東京でいえば青山や表参道のようなエリアです。
もともと働いていた大阪のお店の姉妹店として、2013年にオープンしました。

韓国の一般的なカット料金相場1000円前後に対して、maruni hairは約3000円からの値段設定です。大見謝さんを指名すると約1万円ですが、それでも客足は絶えません。
「お店の知名度も上がってきていて『ちゃんとしたカットを受けたい』という人は、探してでも来てくれます」
お客さんは韓国人と日本人が半分ずつぐらいで、会話が弾む楽しい雰囲気です。

韓国美容界の「クリエイティブ」を牽引

ヘアデザインの世界には、新しいスタイル、個性的なスタイルなど、創造性を追求する「クリエイティブ」というジャンルがあります。
韓国でもクリエイティブをどんどん盛り上げていこうと、大見謝さんは2016年ごろから、ソウルで知り合った美容師の仲間4人と一緒にチーム「declic」を結成しました。この4人がここ数年の韓国クリエイティブ分野の賞を総なめにしており、シーンを牽引しています。

「クリエイティブには 美容師にとって大切な要素がたくさん詰まっています。デザインを作り上げるという創造力、そのデザインを実現させるための技術力が要求されます。
韓国各都市で、プロの美容師向けに行われるセミナーの講師として招かれたり、コンテストの審査員を任されたりと大活躍です。

日本でも「韓国のスタイルを日本で教える」ための講師として、逆輸入的な活躍を見せます。

「日本でも中国でも、今は韓国のメイクやヘアーを取り入れて意識しています。日本のスタイルは(早期に成熟していて)、いろいろな手がやりつくされた感があったのですが、韓国独特のスタイルと融合して、それが新しさになっているようです」

韓国トップクラスの受賞歴

「declic」だけでなく、大見謝さんのお店「maruni hair」のメンバーも猛者揃いです。
2019年12月には、ヘアケア用品の最大手・ミルボンが主催するコンテスト「milbon da INSPIRE KOREA 2019」で、maruni hairから出場した3チーム全てが「デザイナー賞」を受賞しました。

大見謝さんは自身のSNSで当時の喜びをこう振り返っています。
「やりました!!(中略)本当に本当に最高のメンバーです!!みんなが一丸となって頑張ってくれた事が一番嬉しくて幸せでした」

ここで大見謝さんの近年の受賞歴をいくつか抜粋してみようかと思います!

-milbonフォトコンテスト 韓国特別賞 2013-2018までに受賞6作品
-ホーユーフォトコンテスト 海外特別賞
-milbon da ギャラリー賞2017
-milbon da デザイナーズ賞2017
-milbon da デザイナーズ賞2018
-デミフォトコンテスト 2018
韓国部門サロンスタイル1位、3位 クリエイティブ2位
-ミルボンフォトワークス 韓国特別賞
-khaフォトコンテスト
サロンスタイル部門 デザイナーズ賞、準グランプリ
-milbon da デザイナーズ賞2019
ホーユーカラコレフォトコンテスト韓国・海外両部門グランプリ

その他にも、ファッション誌や専門誌に定期的に作品を掲載するなど、幅広く活躍しています。

「キムチが食べられない男」はなぜ韓国に?

大見謝さん、もともと韓国に行くことには、興味も関心もありませんでした。
以前働いていた大阪の美容室のオーナーから「韓国に出店したい」とそれとなく話は聞いていたものの、物件が決まるなど、トントン拍子で出店の話が進んでいきました。
韓国行きを本格的に打診された大見謝さんは、しばらく迷い悩んでいました。

背中を押してくれたのは、母の一声でした。韓国での出店の話が浮上しているという話を母にしたところ「外で頑張っている姿を見せてくれていた方がいい」と言ってくれたのです。

ここから大見謝さんの韓国ライフの始まりです。2013年のお話です。

慣れない食生活にも苦労しました。
「そもそも辛いもの食べられないですしね。今でも食べられないですよ。キムチ食べられないですもん」

「キムチを食べられない」という圧倒的不利な状況から、到着した翌日にはもう仕事が始まりました。
独学で学んだ韓国語は「単語を覚えて、後はなんとなく他の人が話しているのを聞いて実践してみる」という完全サバイバル形式でした。

仲間と一緒に夜中まで

今は人気店の「maruni hair」も、出店当初は当然無名でした。日本のお店が韓国で成功した前例がなく「難しい」とすら言われていました。

お店の知名度を上げるためにもコンテストに出場してきました。
志ある仲間と一緒になって夜中まで技を磨き、悩んで、時には激を飛ばしながら一つの目標に向かってきました。

「スタッフの働き方に対する価値観や文化も違いますからね。特に最初は苦労しましたよ。日本人が韓国の美容界で頑張っているという事例がなかったので、開拓している感じがとても面白いです」

賞を取って、雑誌に掲載され、着々と知名度や評価を重ねていきました。

その努力や実績、そしてきっとその朗らかな人柄も認められ、大見謝さんは「TOMO」としてその名を知られていきます。

「40歳で引退して島で自給自足がしたい」

もともと何か作り出すのが好きでした。
美容師になったのは「何かを生み出しながら、誰かを幸せにできる」と思ったから。そもそも、高校生の時から自分で髪を切っていたというので素質はバッチリです。

ちなみに、
何かを作ることが好きすぎて、スパイスカレーを作ってソウル市内の友人の店で月に一回出していたところ、反響が大きく地元のウェブサイトにも掲載されたほどです。
「2019年は毎月やっていました。6時間で100杯は売れましたよ」

大見謝さんは、美容師である自分には特にこだわっていません。伊平屋島の元野球少年・大見謝さんが描く将来像は、こうです。

40歳で引退して帰ってきて、自給自足の生活がしたいです。海があれば魚は釣れますし、畑があれば野菜が採れます。物々交換で米も手に入るはずです。時代的に、物と物の交換とか、物とサービスの交換が増えてくると思うんですよね。で、いざとなったらフリーランスで美容師もできますよね」

韓国でトップ級の座に上り詰めた美容の技術も「いざとなったら役立つ」ぐらいのスタンスでいるところに、ある種の猛々しさを感じさせてくれます。

どう見る?日韓関係

時折、ニュースでも取りだたされる「日韓関係の冷え込み」。韓国で働き、仲間と同じ目標に向かう大見謝さんには、どう写るのでしょうか。

「みんな言うんですよね。『国と国、政府と政府になった瞬間、仲悪くなるよね』って。個人と個人では日本人も韓国人もみんな仲良くしているのに」

実体験に裏打ちされた言葉たちは続きます。
「今の世の中、SNSの写真や動画で外国のこともなんとなく知れるし、疑似体験もできるかもしれないけど、これが実態を表しているかは分からない。実際に行って初めて分かることだらけです」

「『外に出て沖縄・日本の良さを再確認できる』ことと『他に選択肢がないから沖縄・日本に住んでいる』とでは大きく違います。『必ずここで生活しなければ』という場所は決まっていないはずなので、住む場所の選択肢をあれこれ広げてみるのもいいかもしれません

国際線の航空券も数千円という時代。何かに行き詰ったり閉塞感があったり環境をガラリと変えたかったり。そんな時にはまずはお試しで飛び出してみるのも一案です!

(文・写真 長濱良起 / One Okinawa)